†captivity†(休載)


あたしを担いだまま器用にも部屋の鍵を開けた緒方先輩は、これまた器用に靴を脱いで上がった。

……せめてあたしの靴も脱がせて欲しいとか思ったけれど、だったら脱がせるより降ろしてくれることだろう。

というかなんであたしは部屋に入ったにもかかわらず担がれたままなんだ。



部屋の位置的に、あたしたちはいつものソファーのある部屋へ行き、そして。



「うわぁ!?」



そこでようやくソファーの上に降ろされた。

着地が少々下手で、ちゃんと座れていないけれど、なんとか降ろされたことに安心した。

地面に足がつくってなんて幸せだろう。



「……」

「……」



おっと、靴脱いでなかった。

あたしはその場で靴を脱ぎ始めた。

ちなみに降ろされてからここまで、緒方先輩に視線は向けていない。

緒方先輩の表情は怖くて見えないけれど、あたしを降ろした時の場所にいるまま動かないわけだから、何かしら話があるのかもしれない。



でも、普段煩い人が話さないと……なんだか余計に怖いのはなんなんだろう?
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