†captivity†(休載)


「……緒方先輩?」

「あ?」

「奏多くんたち、遅いですね」

「来んなっつったからな」



もはやあたしの逃げ道はありませんでした。

緒方先輩は一体何を企んでいるんでしょうか。

あたし生きて帰れるのかな。



「……知歌ぁ……」



ポツリ、寂しさから思わずつぶやきが声に出た。

助けてよ知歌。

今度はアンタが姉さん助ける番だって絶対。

なにして──と、その時。

あたしは何かに押されて、気付けばソファーに寝転がっていた。



なぜだ?

なんて考える意味もなく、真っ正面に答えはあった。



あたしは緒方先輩によって、ソファーに押さえつけられたのだ。

その瞳には、怒りと悲しみが混ざったような、複雑な心が映っていた。



「お前……なんでアイツの名前ばっか呼ぶんだよ」



切なさを含む、緒方先輩の声。

苦しそうな、声。



あたしには、なぜあなたがそんなひとみで、そんな声を出しているのか、わからない。

ただ、何かが緒方先輩を苦しめていることはわかる。



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