†captivity†(休載)
「ちょっ……!!」
あたしはあわてて緒方先輩の頭をつかんだ。
また『キスマーク』とやらを付けられるんじゃないかと思って。
でも今日は吸われる感覚がしなかった。
そのかわりに、首に生暖かい感覚が広がり、背筋がしびれた。
ぬるりとした感触に、まさか……と、信じたくはない予想が浮かんでいた。
まさかあたし、あたし……舐められてるんじゃないでしょうね?
そう思ったところに追い打ちをかけるように、再びぬるりという感触。
再び背筋に走るぞわぞわ感に、さすがに今度は緒方先輩の胸を押し返した。
「や、やめてくださいってば!!」
ちょっと力を入れたくらいじゃビクともしなかったけれど、緒方先輩は少し顔を離してくれた。
それでも、距離は近い。
「……離れて」
「やだ」
「ガキか」
「もっかいうずめんぞ」
返事をしないうちに、彼はまた、あたしの首に舌を這わせる。
それが恐怖心から少し違う感情になったのは、どれくらい経った頃だろうか。
実際には1分や2分程度かもしれない。
でもあたしにはとても長いような……短いような時間に感じた。