†captivity†(休載)
「やべぇ」
その言葉と共に顔を離した緒方先輩は、あたしの頬に片手を添える。
おかげさまであたしの息は絶え絶えだ。
「……なんですか」
「……はぁ~やべ」
「だから何──」
そこには、さっきとはまた違った切ない顔があった。
熱を含むような熱い視線がまっすぐ向けられる。
その視線から、逸らすことが出来ない。
「バカ」
「……和歌です」
「ちげーよアホ」
いつもと雰囲気が違う。
少し汗もかいているようにも見える。
まぁ人担いで帰れば汗も出るだろうけどさ。
そして切ない声でまた甘く囁く緒方先輩。
「なんでお前そんな可愛いの」
「は……?」
初めて、彼はデレたのだ。
そしてさらに、事件は起きた。
「……ムラムラする」
……今、何か聞こえたかしら?
反らせない視線。
いつの間にか頭上で掴まれていた両手首。
近い顔。
彼との距離は3センチ。
2センチ
1センチ