†captivity†(休載)
「お前、思い出しただろ?」
「……」
言いたくない、なんとなく、恥ずかしくて。
ていうかなんであんな子供の頃のこと覚えてたのこの人。
……って、あぁ、全部記憶しちゃう人だったっけ?
そんなことどうでもいいから早く離れてほしい。
あたしはまた緒方先輩の胸をグイグイ押すけれど、ピクリともしない。
力つえぇ……。
「早く白状した方がいいんじゃねーの?」
「……は、い?」
緒方先輩は、ニヤリとした笑みを向けて言った。
「約束の時間まであと五分ねーよ?」
時計をみると、あの日あの話をしたくらいの時間に迫っていた。
……ということは。
「お、思い出しました思い出しましたとも!!」
どうやら本日だったらしい。
しかもあのバカみたいな記憶力は、どうやら1分1秒の狂いもなく覚えていたらしい。
バカか。
……いや天才の域か。
これでもし思い出さなかったら……と思うと恐ろしい。
マジで東先輩に海に沈められそうで。