†captivity†(休載)


でもまぁ、罰ゲームを逃れられたのはよしとしよう。

そうだそうだ、確か……。

『お前が俺にキスな』

とか言われてたから。

ここにきて思い出した。



出来るわけないでしょ。

でも灯くんのせいでこの男があたしの初恋の相手だと気付かされた今、何とも複雑な心境である。

初恋の相手ならアリか?

いや、でも今はこんな不良になっちゃってんだからナシだろ。



どっちにしても罰ゲーム受けなくて済んだわけだから、関係ないのだろうけど。



……と、思っていたけれど、あたしは重大なことを忘れていた。

思い出したショックでぶっとんでいたけれど……あたしついさっきコイツにキスされてたんだ。

そしてその時の態勢のまま、つまりあたしは緒方先輩によってソファーに押さえつけられたままなのだ。



そして今更……ホント今更だけれど羞恥心で顔に熱が集まる。



「……お?」

「な、な、な……!!」

「やっと思考が追いついてきたか」



過去にダイブして現実と比べることに必死になっていたあたしは、『キス』という最新の事件に今にしてようやく思考が現実に戻ってきた。

バカかあたし、なんでそんな重大事件忘れて涙しながら緒方先輩ガン見してたかな。
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