†captivity†(休載)


もう何が何だかわからないくらいに思考がぐちゃぐちゃして、今二人の絡まっているものが舌だということと、息苦しいということしかわららない。

一息ついたらまた唇を奪われる。

それを繰り返していた内に頭の隅にあった『抵抗』という言葉が消え失せていくのを感じた。



抵抗しなければいけない。

でもなぜ抵抗するのか、思考がマヒしているのかよくわからないんだ。



だって彼のキスは温かくて柔らかくて、あたしを想いながらも情熱的に求めている。



「和歌」

「心……くん?」

「和歌……!」



ギュッと強く抱き締められる。

それに抵抗しようとは思わなかった。



「ごめん……和歌」

「……どうしたの?」

「和歌が好きで好きでたまんねぇんだよ」



さらにギュッと強くなる力。



緒方先輩の急な告白に、あたしの思考回路は再び停止する。

抱き締められたまま、あたしは答えられずにいた。



『知歌』

今ここでOKしてしまったら知歌が不幸になっちゃう。



私の中からNOという選択肢はなくなっていた。

気付いてしまった、私は彼が……緒方心が好きなんじゃないのか。

< 243 / 392 >

この作品をシェア

pagetop