†captivity†(休載)
「ガキの頃から、あの頃から忘れたことはない」
……やめて。
「お前にまた会うために、悟に頼んで情報まで探した」
やめてよ、やめて、揺らいじゃう。
「あの日会った時からお前しか見てないんだ」
「……やめて、あたし、そんな……」
「お前が滝沢に取られるかもしれねぇだけで、焦るんだよ!」
……私には、知歌がいて、知歌が幸せにならない限りあたしは幸せを手にする資格なんてないと考えていた。
でも緒方先輩と……チャンスがなくなるのも、この機会を逃して遠のいてしまうのも、怖いと思った。
どうしていいのかわからない。
キスされたことで、今まで憎らしく思ってきていた意地悪も、実は本当に嫌っていたわけじゃないと気付いてしまった。
コンビニに寄ると理由付けて家まで見送ってくれたこともある。
この部屋に来ると、いつもあたしが先に座り、そしていつも隣に緒方先輩が座った。
目をつむって何もしてないように見えて、奏多くんとの会話を聞いていたり、東先輩の毒舌に負けそうになると、口を挟んで助けてくれていた。