†captivity†(休載)
気付けばいつも隣にいた、俺の片割れ『和歌』。
いつも一緒にいたから、俺は誰よりも和歌を知ってるし、和歌は誰よりも俺を知っている。
それが当たり前だったし、普通だったし、特別だった。
和歌は俺の特別で俺も和歌の特別。
でもそれが初めて崩れたのが、小学校2年の夏休み……そう、和歌がアイツに会った日だった。
夏休み、風邪をこじらせた俺は、家のベッドで寝込んでいた。
いつもだったら和歌も一緒に風邪をひいているか、ずっと俺に付きっきりになるパターンだったのに、その日は違った。
なぜかといえば、その日はプールの試験があったから。
俺は風邪で動けなかったけれど、元気な和歌は行かなければならなかった。
例え、和歌が運動オンチのカナヅチでも。
和歌蜂に襲われてないかなぁ、とか。
和歌が溺れても誰か救出してくれるかなぁ(いつもなら俺が助けてる)とか。
心配事が絶えなかった。
……なのに、そんな日に限って、和歌の帰りが遅かった。
4時半を過ぎても帰って来ない。
いつもなら帰ってくる時間なのに……友達と遊んでるのだろうか?
とにかく心配して、寝られなかった。