†captivity†(休載)
両手で顔を隠そうとしたら、両手を取られてしまった。
両手で防がれてしまったから、緒方先輩の顔も丸見えで、あたしのどうにもニヤけてしょうがない顔もガン見されていて。
恥ずかし、かわい、緒方先輩可愛……けど、顔が近い。
相変わらず押し倒されたまま再び動きを封じられたあたしは、まさかという気持ちを隠せない。
デジャヴですか。
さっきもこんなシチュあったよね。
ねぇあったよね!?
「お前さっきされたこと忘れたの?」
「わ、忘れてない……」
「あんなことされても拒否しないってことは、期待していいんだな?」
「いえ別にそういうわけじゃっ……んぐっ」
その先の言葉は、音にならずに緒方先輩の口の中へ消えていった。
本日三度目……もう驚きもなにもない。
キス魔かこの人。
そして同意も拒絶もできないあたしも、かなり悪い子だ。
今回は深くはなく、軽く触れただけだった。
そしてふっと笑う緒方先輩は、してやったりと言わんばかりのニヤリ顔を向ける。