†captivity†(休載)
その後あたしは緒方先輩に見送られて、家に帰った。
だから近いから見送らなくていいって言ってるのに。
「和歌」
「……なんですか?外にいる時の和歌は警戒心全開ですからね」
「いや、今度デートしよう」
……なんと?
緒方先輩から聞き慣れない単語が出て来た。
「お前どこ行きたいか考えとけよ」
しかも既に決定らしい。
あれ、あたしの意見は?
「また明日な」
ポンと頭に手を置かれ、軽く撫でられた。
そしてまたエレベーターの中に返って行く先輩を、あたしはしばらく呆然と見つめていた。
ハッと気付いた時には既に先輩はいなくて、あたしもサッサと家に帰った。
そして、知歌から来ていたメールに気付いたのは、部屋に戻った頃だった。
『自分の想いを優先して』って……だから助けに来なかったのか。
さすが双子というべきか……自分ですら気付いていなかった想いに知歌は気付いていたのかな。