†captivity†(休載)
『俺の好きな人は、和歌だよ』
好きな人がいるんじゃないか、なんて聞いた延長の話で、ちゃんと付き合う付き合わないの話は曖昧。
その後はただただお互いを避けていたから……ちゃんと話そうということなんだと思う。
逃げてないで、ちゃんと話して、元みたいになんでもない雑談とか出来るような仲に戻りたい。
「とりあえず、座ろっか」
「……あ、うん」
いつもいる三人がいなくて、灯くんとあたしだけがこの教室にいるなんて、なんだか変な感じ。
静かで、なんだか別の場所にいるみたい。
あたしはいつも座っている、奏多くんの向かいの席に座った。
灯くんは座らず、あたしの前に立ったまま、荷物だけ机に置いた。
「久しぶり、だね、こうやって話すの」
「……うん、そうだね」
「奏多が心配しててさ、和歌と俺になにがあったのか聞いてきてさ、曖昧に返したんだけど」
「うん」
「悟先輩なんてすぐ察して、ヘタレっていわれちゃったよ」
そう苦笑いする灯くん。