†captivity†(休載)

──運命の人



その翌日、あたしはふかふかなベッドの上で目覚めた。

ぼやけた瞳を右へ左へ移す。



あれ?

見覚えのない部屋だ。

あれ?まだ夢の中?

ごしごし、目を擦って上半身を起こす。



ぼーっとしたまま、その部屋をグルリと見渡す。

黒い家具が多い。

壁紙は白。

ベッドの布団は……海のような深い青。

机を見ると、大量の教科書があり、そこで目を留めた。



まさか。

そんな言葉があたしの頭にうかんだ。

いや、でも、そんなはずないと思いたい。



家具が少なく寒色の多いこの部屋は、明らかにあたしの部屋ではないし、女部屋とも言いにくい。

つまり、男部屋だとして。

あのどっさりと積まれた教科書たちを見ると、ある一人の人物しか思い当たる節がない。

もちろん知歌の部屋は何度も見ていて知ってるから除外。



どうしよう、あの教科書たち、中学も高校もまざってるし、置き方が雑。

英語、歴史、科学、理科、国語いろいろ置いてあるけど、数学だけないようだ。






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