†captivity†(休載)
「夢……だったらいいのに」
だがしかしほっぺをつねっても起きろと念じても、何も変わらない、痛い。
ということは、やっぱり現実なのだろうか。
「緒方先輩の家……?」
それ以外に誰の家だというのか。
でもわからない。
昨日は灯くんに送ってもらって、ちゃんと自分の家に帰った。
いつものように自分のベッドで寝た。
なんで起きたらこんなことに?
あたし深夜徘徊した?
してもきっと知歌が止めてくれるはず。
そうよね?
そう信じてる。
その時、扉が内側に開き、部屋の主が現れた。
「起きたか」
「……状況を説明していただけますか、緒方先輩」
やはり、ここは緒方先輩の家だった。
「ブツブツ小言言ってねーでさっさと居間来りゃいいんだよ」
「べ、ベッドルームなんて入ったことなかったんですから警戒しますよ!!」
信じられない、なんなのこの人。
そんな暴言と同時に浮かんだのは、嬉しさ、恥ずかしさ。
しばらく会えないと思ってたのに、それは思いもしない形で再会したのだ。
あの告白の後、初めて会ったのが、まさか……ベッドルームだなんて……。