†captivity†(休載)


「ガキの頃、お前と一度だけ会っただろ」

「え?あ、はい」



家出少年、あの時の記憶は強く残っている。

衝撃的で、重いものを背負っていて、すごく可愛い男の子……。

まぁこんな俺様になってしまったことは残念だけれども。



「あの時の女にもう一度会いたいって気持ちだけで、あの公園の近くのマンション……まぁここに決めたんだ」

「……あたしに、会いたかったから?」

「この窓から見てたら現れたんだよな。登下校の時間、中学生のお前」



会った時にすでに知っていたのは、ここから見てたからだったのか……。



「見送るのが週間になっちまって、その時奏多もよく家に来てたもんだからさ、俺がお前のこと見てたの知ってたんだ」

「……奏多くんも知ってたの?」

「悟もな。だからガキの頃会ったことがあるって話してた。そんで今年、奏多がお前と初めて会った」



あの時、奏多くんが犬に怯えて、それをあたしが助けた時のことだ……。



「助けてもらったから、お礼がしたいって言ってきたんだ。俺は少し躊躇ったけど……チャンスだからって言われてさ、あの時の奏多には驚いたな」
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