†captivity†(休載)


「悟までのって来て、じゃあお迎えにあがらなきゃねとか言ってその場でクラス調べるわ、どう言いくるめて連れてくるか考えてさ」




『昼休みのこの時間、俺たちにくれないかな?』

東先輩が教室まで来て、あたしを呼び出した。

あの時のことを、あたしはずっと緒方先輩に頼まれてしたことだと思っていたけれど、東先輩自身が動いてたのか。



あ、緒方先輩がそれを、あたしと再会することを躊躇ったから、初日の口数が少なかったのか!!



「情けねぇけど、忘れられてるんじゃないかって怖かったんだ。案の定忘れられてたしな」

「だ、だってあれは、あの頃は知歌のことでゴタゴタとした後で、すっかり忘れてて」

「まぁいい。それにイラついたから『俺は思い出せ』って言って、一緒にいる理由を作れたからな」



唖然。

あたしは覚えてなかったから、この男にさらに火をつけてしまったらしい。

そうだったのか……。



「だから和歌」

「……あ、はい?」



外を見ていたその瞳が、あたしに向けられる。

緊張してしまう。

こんなに近くにいたのかって……。
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