†captivity†(休載)
ジロリと蔑むように睨んでくる彼に、和歌は勝つことが出来ません。
なにあの目、人殺しにかかってるでしょ、怖っ。
「……すみません、今度プリクラ連れて行くので手を打ちます」
「諦めが悪いよね」
こちらとしては妥協案を打ったつもりだけれど、それはさらに彼の機嫌を損ねるものにしかならなかったようだ。
「奏多くんなら了承してくれると信じています!!」
「彼氏の俺が了承しねぇわ」
「和歌、えっと、ごめん……」
「ダメなの!!?」
大変だ、断られてしまった……。
奏多くんのこの可愛い姿を留めておけないなんて……。
「それじゃあ今度4人でプリクラ行きましょう!!!」
この直後和歌は、項垂れて視線を逸らす皆様のため息を一身に受けるのでした。
しばらく呆れられていたのか、誰も口を開いてはくれなかった。
え、そんなにみんな黙っちゃうほどダメなことだった??
このメンツで写真くらいは撮らないのだろうか?
男子高校生はそんなに撮らないか?
しかし撮らないにしてもこの空気の重さは気になる所なので、その疑問を彼らに尋ねることにした。
「三人で写真を撮ることとかあるんですか?思い出に、とか」
三人で写真を撮る所なんて全く想像がつかないけれど、先程の反応からして撮ることを嫌っているような気がした。
「滝澤から聞いてないの?」
「え?」
「好奇の目に晒されるのは避けてたからな」
「……???」
とりあえず、写真が嫌いなんだろうな、ということしか察せられなかった。
「滝澤くんは知ってるということですか?」
「俺らがここまで落ち着く過程は見てたはずだ」
「……今落ち着いてるってことですか?」
心くんが遠くを眺めて眉をひそめている。
一体何があったというんだ……。
「写真は……」
奏多くんが、ポツリと呟く。
「写真、は……怖いんだよ……」
奏多くんまで、潤んだ目を反らしている。
一体何があったというんだ……。