†captivity†(休載)
奏多くんが怯えている……。
さっきは、ここまで落ち着いたのだと言っていたけれど、一体どういうことなのだろうか。
ちょっとそこのところを詳しく知りたい。
「さっき、好奇な目とかなんとか言ってたことに関係しているのでしょうか?」
この三人は目立つ。
孤立しているというか、みんなが怖がって遠目で見ているような状態なのだ。
あれ、でも誰かがファンクラブか何かが出来ては片っ端から潰されていった、みたいな話をしていたような気がする。
それ関係なのだろうか?
「盗撮されて売られてたんだよ」
ここまで静かに話を聞いていた東先輩が、そう簡単に説明してくれた。
「……盗撮?」
「どんな理由の需要があるのかなんて興味はなかったけど、とにかく心と二人のところやこの三人でいるところを撮られては売られ、片っ端から潰していったよ」
「心は、悟と会うまで、レアキャラだった、から」
「あ?なんだそれ?」
東先輩曰く、盗撮は片っ端から潰していったらしい……。
奏多くん曰く、心くんはレアキャラだったらしい。
心くんはレアキャラの自覚どころか意味すら分かっていないらしい……マジか。
その心くんがレアキャラ、と聞いて、なんとなくその頃の状況が読めたような気がする。
そう、女子という生き物は、大体レア度の高いものやハイスペックなものが大好物なのだ。
そう、つまりイケメン好きが大多数を占める。
この二人は毒素が強めとはいえ、遠目で見る分には申し分のない容姿であり、加えてレア度が高く、さらにかわいい奏多くんが懐いている。
例えば、雨の日に捨て猫を拾ってしまう不良のように。
そう、それは普段誰にでも噛みついてしまうような、誰にも笑みを見せようとはしないクールな人たちが、特定の人物の前でだけ滲み出てしまう、その一瞬。
その一瞬を、彼女たちはきっと、その目に留めておくだけでは済ませられなかったのだ。
そう、あたしが奏多くんの笑みをこの目に留めておくだけでは足らなかったように。
「つまりギャップ萌えということですね」
彼らは女子の……または、腐女子の餌になっていたのだろう。
と、和歌は予測しました。