†captivity†(休載)
そういえば、あたしにこんなに距離を置くくらいなのに、奏多くんはあの鬼畜先輩ズを怖いとは思わないのだろうか?
あの二人が奏多くんにだけ甘いってのもあるかもしれないけど。
「奏多くんさ、あの二人と仲良いでしょ?」
コクリ。
「でも、緒方先輩って雰囲気怖いし東先輩なんて口開けば毒舌。なんであんな二人と仲良く出来るようになったのか、知りたいな」
中庭に向かいながら、あたしはそんなことを聞いた。
だって、奏多くんならあの二人と会ったら怯えたり逃げたりしそうだもん。
その秘密を聞き出して、あたしも奏多くんに懐かれるようになって……うへへへへ。
……あ、ヤバい、なんかもう思考が女子としてヤバい。
キュッと、あたしはブレザーの裾を掴まれた。
「ん?」
フワッと笑う、奏多くん。
もう今日だけで何回胸キュンしたことだろう?
「おなじ」
「おなじ?」
「助けて、くれた」
声が、しっかりと聞き取れた。
それは、二人の話をしているからかもしれないけど、心を少しでも開いてくれたのかもしれないと、嬉しくなった。