†captivity†(休載)


そういうところだよ、あたしが尊敬して、好きで好きでたまらない部分は。

誰にでもできることじゃない。

奏多くんの迷いを、一切なくしてしまえるほど、信頼してしまえるなんて。



「浮気なんて言葉浮かばねぇくらい、惚れさしてやるから、大丈夫だ」

「どっからその自信は溢れてくるんですか」


彼は今もなお、奏多くんの心を、そしてあたしの心も、救ってくれている、気にかけてくれている。

迷わず友達が続けられるように。

そして奏多くんが克服して、一歩踏み出せる、その瞬間もずっと








ずっとずっと、彼は、彼らは、見守り続けるのだろう。








その後、お祝いとして作ってくれたチョコレートムースもいただいたけれど、とてもまろやかで美味だった。

食べ終わるとすぐまた心くんが更新を始めてしまうということで、今日はこれでお開きとなり、みんなに見送られながらあたしも帰ったのだった。














さて。

あたしは今朝の事件を忘れてはいない。





帰宅して、居間にいた知歌の前に仁王立ちをする。

知歌はバラエティを見ていたその視線をこちらに向けると、既に話したいことを理解したように立ち上がる。



「おかえり和歌」



あたしは知歌を連れて、台所で洗い物をしていた母を横切り、部屋へと向かう。



「あら、おかえりなさい和歌。知歌も、もうお部屋行くの?」

「ただいま。これからちょっと話すの」






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