†captivity†(休載)
「二人が奏多くんを助けてくれたの?」
コクン、奏多くんはひとつ頷く。
「どこまでも遠い世界から、同じ世界だって、気付かせてくれた」
どこまでも、遠い世界……?
「それってどういう……」
奏多くんは、困った表情で、口元は笑っていた。
『ごめんね』
まるでそう言っているかのように。
話せないって事なんだ、きっと。
あたしには、今はその言葉の意味がわからなかった。
でも、いつかわかる日が来るといいなって思う。
「そっか。奏多くんが救われたっていうなら、きっと本当はいい人たちなんだね」
あたしにはまだ欠片もわからないけど、彼らの優しさにも、いつか触れてみたいな、そう思っていた。
まぁあの鬼畜たちが優しさの欠片も見せるとは思えないけれど。
中庭に出ると、ちらほら人はいたけれど、思っていたよりはいなかった。
ベンチが1つ空いてたから、そこに座る。
「奏多くんも隣どうぞ」
「あり、がと」
口ごもっている感じは変わらなかったけれど、ちゃんと聞こえたことに感動した。
きっと奴らの話題で声出てたおかげだ。