†captivity†(休載)
──訪問者
心くんに近寄ると、サクサクとゲートに向かって歩いていく。
え?ちょっと、まってまって
「チケットは!?」
「もうある」
いつの間にかその手には、チケットが二枚。
その手に持ってヒラヒラと靡かせている。
「いつの間に!!」
「先に買ってあった。行くぞ」
ゲートを潜り、彼の隣に並ぶ。
「お代は?」
「悟と奏多からのプレゼントだ」
これもか、あの二人!!
準備万端じゃないか!!
今日あたしが来れなかったらどうするつもりだったの!?
「……って、あたしの分まで二人が払ってくれてるってことですか?」
「今日一日お前に関わるセット全てアイツら持ちだから大丈夫だ」
これ以上に高く貢がれていないことを願いたい。
なんだか先輩に裏がありそうで怖くなってくるわ。
と、二人で歩みを進めていると、フォトスポットに到着した。
「撮るか?」
「いや、いいですよ、誰に撮ってもらうんですか」
そう返した直後だった。
「あ、もし宜しければお写真お撮りしますよー!」
そう元気な声が聴こえてきて振り返ると、髪をサイドアップでひとつに縛ってパーカーを着ているスタイルの女の子がひとり、いた。
年齢は同じくらい、か、年下?
ひとりで……?
いや、魚好きで水族館に一人で来る子くらいいるか……。
ちょっと不思議な感じはしたがそう解釈し、心くんを見上げる。
「せっかくなので撮ってもらいま……どうしました?」
彼は頭を抱えて頭上を見上げていたのだ。