†captivity†(休載)
「カメラとかお持ちでしたら貸していただければ撮りますけど!」
「あ、ないのでスマホでも──」
「やめとけ」
……??
心くんはそう言ってから彼女を見る。
「カメラくらい自分の持ってんだろ」
まって、彼女のカメラに撮られたところでこちらの手元には残らないのでは???
いや、でもなんだか様子がおかしい気もする。
「心くんもしかして、お知り合いですか?」
無邪気な笑顔だった女の子の顔が、ニタァ…っと笑う。
背筋に寒気が走った。
え、なに、怖い怖い怖い。
さっきまでの明るい雰囲気は?
え?
無邪気な笑顔は???
「心くん……」
あたしは反射的に心くんの後ろに隠れる。
「あらあら、怖がられちゃいましたかー?」
また、彼女が無邪気な顔で笑う。
その笑みすら今は、怖く感じるのだ。
得体の知れない怖さ。
「あー……まぁ、こちらに害はない、はず、だ。味方……うん、味方だ、たぶん」
「そのあやふやな感じはなんですか!?ていうかやっぱ知り合いですか!!どなたですか!!ていうか敵とか味方とかあるんですか!?」
まさかの発言に不安しか湧かない。
まだ水族館に到着したばかりだというのに!!
「まぁバレちゃったーというか、自分で早々に出て来ちゃったので、自己紹介させていただきますよ」
「え……はい」
バレちゃった?
バレたってなに?
潜んでるつもりだったの!!?
「いつも兄がお世話になっています、藤崎和歌さん」
「……兄?」
「まぁド鬼畜で、口悪くて、すーっごい極端なツンデレみたいな兄なんですが、身に覚えはございませんか?」
めちゃくちゃありました。