†captivity†(休載)
「タイミングがタイミングだしな」
タイミング、というと、心当たりは彼の誕生日のことくらいで。
「……お誕生日プレゼントでも、くれようとしてるってことですか?」
「お前の頭はお花畑でいいな」
「貶してます!?」
柔らかく頭を撫でてくれるその手は心地いいけど、お花畑とは聞き流せない発言です!!
ムッと彼に怒るけれど、ニヤリと笑われてから魚に視線を戻してしまった。
ムッ。
「まぁ誕生日でもあるし、お前と付き合い始めてから初めての外出でもある」
「あれからずっと引きこもっていた発言ですね?」
「朝まで更新は続けてたからな」
ちゃんとこの人寝たんだろうか?
いつもあたしの方が彼の前で寝てばかりで、彼の寝ている姿なんて見たことあっただろうか……?
いや、確かに部屋で目を瞑ってる姿は見ているけど、寝息聴こえないし、寝てないやつだと思うんだよね。
まぁ今はそんなことは一旦置いといて。
「付き合ってから初めての外出で、接触しようとしてくる人がいるとはどういうことですか?」
「俺のこういう幸せを、嫌がる奴がいるってこと。あ、うみ亀」
「亀さん!?どこですか!?」
「奥、その岩の向こう」
「かわいいいいいい」
パシャパシャパシャ
つい興奮して流されてしまったけれど。
彼はそれ以上、その人に関することは教えてくれなかった。
と、その時、ケータイのバイブ音が響く。
彼も同時に、ケータイを取り出したので少し不審に思うが、自分の画面を見る。
そこには綾愛さんの名前でメッセージが受信されており……って、まって、えぇ!?
いつアドレスの登録なんてしましたっけ!!?