†captivity†(休載)
スパイ、とか、ファンタジーの世界じゃなくて??
「彼女、危機感皆無なんで、ちょっと親切心から練習させてあげたんですよー」
「確かにね、ジジイ相手にするにはもうちょい危機感はほしいかも」
綾愛さんが「ジジイ」って言った……。
「気にしねぇであほ面なまま過ごさせたかったけどな」
「……ちょっとそれ酷くないですか?」
「クソジジイ相手にちょっと無理があったか」
心くんまでも「クソジジイ」などと……。
いや理事長も「ババア」呼びではあったけども。
「数は少ないが、もう出口で待ち構えられてる、裏通してやるからそっちから出てくれ」
それはつまり…逃がしてくれるということだろうか?
でも、そうすると二重スパイであるこの人は……?
「それ、あなたは大丈夫なんですか?」
「見失ったことにすりゃいい。綾愛がいるならジジイも納得するだろ」
ほんと、綾愛さん何者なのか。
納得されてしまうほどの強者なのか、この歳で?
「監視カメラはいじってあるから、この状況は記録されてない。あとあの人の目的のことだけど…」
「大体検討つくけどな」
「緒方心から女を排除すること、ついでに友達も排除したそうな勢いだ」
彼のお父さんは、一体なにを考えているの……?
そこから先は、混乱で記憶が薄い。
商品はカゴに入れられていたけれど購入出来ず、店の裏口へ急ぎ、駐車場から車の影を通ってそっと外へ出る。
そこにはタクシーが停められていて、どうやら綾愛さんが呼んでいたようだった。