†captivity†(休載)
──パーティ
「心配しないで大丈夫です。こぢんまりとした身内だけのパーティーだと聞いていますので」
車を降り、その広い敷地を真正面から眺めて口をあんぐりさせているあたしに、綾愛さんが教えてくれた。
けれども。
「こぢんまり、ですか」
「少々理事長が気合を入れている所はありますけど、一応こぢんまりです」
「花咲かせすぎなんだよあのババア」
庭には紫陽花やポピー、ジニアやユリ、ハナショウブなど、様々な花が彩っている。
カラフルに彩られた広い庭、噴水……そう、庭に噴水と、いくつものオシャレなテーブルセットまであるのだ。
遠くには温室も見えるではないか、ここは植物園かな。
屋敷の入り口にも可愛らしい鉢植えが。
「この時期咲く花を特に集めたからね」
真後ろから聞こえたその聞き覚えのある声に、ビクッと肩が跳ねる。
「理事長……!!」
「おひさしぶり」
ビックリしすぎて心臓がドクドクいってる。
気配なかった、真後ろに急に現れた。
「おい、和歌の心臓に悪いことすんなババア」
「そんなに庭に魅入ってくれてるとは思わなくてねぇ。ほら、今日のメンツを連れて来たよ」
と、理事長の後方からは東先輩と奏多くん、それに知歌までいる。
どうやら奏多くんと打ち解けることが出来たのか、朝より距離が縮まっているように思う。
「和歌!」
「知歌まで連れて来たんですか……」
大丈夫だろうか、知歌の知り合いなんてあたししかいないだろうに。
「知歌……来て大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、いつまでもあの頃の俺じゃないし。和歌もいるし」
「東先輩とも一緒に来たってことでしょう?なんという窮屈な空間……」
「それほど酷くないよ。彼、説明以外じゃ黙っていたし」
黙っていた……???