†captivity†(休載)
奏多くんと灯くんのその関係を知らないのは、すずちゃんとみくちゃん、それに知歌だ。
理事長はわからないけど。
というか、知歌はほとんどこのメンバーと無関係だったから、メインはすずちゃんとみくちゃんに聞かせること、だったんだろう。
何のために……?
というかそれ大丈夫?
東先輩怒らない???
「滝っちのこと……?お付きの人って??」
「……今お兄ちゃんて言いました?お兄ちゃん??」
はぁ、と、大きなため息が私の後方から聴こえる。
東先輩だ、絶対東先輩しかない、というかなぜかあたしの背に強い視線を感じる、怖くて振り向けない。
ゾワゾワ寒気がするのでやめてください。
というか、あたしのせいじゃない、話しちゃったのは綾愛さんじゃないか!
「ええと。これは説明していいやつなのでしょうか?」
「綾愛、何を考えてるか話してからにして」
鋭い視線が綾愛さんに移る。
当の綾愛さんはというと、スタスタとテーブルセットへと移動し、机に軽く手をつく。
既にケーキや食べ物の皿が並べられたそこを眺めてから、視線をこちらに戻すと。
「まぁまぁ、せっかくお料理も並べていただいた所ですし、お食事頂きながらお話でもいいんじゃないですかね?」
にんまり、彼女はまたあの笑みを見せたのだ。
彼女を見て、またため息をつく東先輩の目は据わっている。
綾愛さん、あんなにお兄ちゃん子してたのにいいんですか……今この人めっちゃ機嫌悪くなってますよ……。
手を叩く音が三度響く。
注目を集めたのは理事長だった。
「そうだねぇ。まずは心のお祝いをさせてほしい。東綾愛、今日のことは聞いてるし焦りもあるんだろうけど……もう少し待ってくれる?」
「……すみません。そうですね、お祝い始めましょうか!」
パッと明るく切り替わる彼女に、ざわざわとした気持ちが少し薄れる。
そして、ここで思い出してしまったことがある。
あたし、心くんのプレゼント、水族館のレジで受け取ってない!!!