†captivity†(休載)


そんなあたしの心境など誰も知ることもなく、続々と各自椅子に座り始めている。



「綾愛さん、綾愛さん」

「どうしました?」

「水族館のお土産の件なんですが!」

「あぁ、大丈夫です、確保してありますよ。……でも、今日受け取れないと意味ないですね」

「お気づきの通りです!」



どうやら気付いていただけたらしい。

というか確保しておいてくれたのか、ありがたい。



「水族館に居た彼を呼ぶにはちょっと、今はあちら側に付いている体なのでリスクがありますね。使いの者に頼んでおきます。数十分後にはお渡しできると思いますよ」



使いの者という部分が若干引っ掛かるけれど。



「よかった……!!お金、ってお値段見忘れてた。後で一緒に教えていただけますか?」

「はい、問題ないですよ。聞いておきます」

「ありがとう!!」



一気に綾愛さんへの好感度が上がってしまった!!

お兄さんと違ってとてもいい子ね、ちょっと時々怖いけど。



綾愛さんとの話が終わり、あたしは知歌と心くん、理事長の三人が座る席へと戻って行った。

残りの組み合わせは、東先輩と奏多くんと綾愛さん、そしてすずちゃんとみくちゃんと灯くんの三人ずつだ。

こぢんまりとか言われたけれど結局10人も集まってるじゃないか。



あたしが知歌の隣に座ると、知歌から心配の眼差しが送られてくる。

私は彼が安心出来るように、ふっと微笑む。



「大丈夫だよ知歌」

「さっきの話、何?後で聞かせてくれるんだよね?あの綾愛って子、今日和歌たちに付いてた子だって聞いてるから」

「あぁ、うん……話すよ、大丈夫」



そうか、綾愛さんが東先輩に写真や報告を送っていた先で、知歌も東先輩と奏多くんと一緒に行動してたんだもんね。

聞いてたのか……。

どこまで知ってるのか……。
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