†captivity†(休載)


だって車移動のお坊ちゃんですよ?

人混み無理とか言ってんですよ?

しかも小学生で……バスなんて、心くんに乗れると思う??



「和歌、バスなら電車と違って切符は必要ないから、小銭持ってれば移動できると思うよ」

「知歌にまで馬鹿にされてる気がする」

「いや、和歌は自分が思ってるより結構おバカさんだよ」

「酷い!!」



知歌、知歌まで東先輩に毒されてしまったんじゃない?

みんな和歌さんへの扱いが酷いよ、ぐすん。

でも確かにバスなら子供でも乗れるな。



「藤崎和歌は、心の記憶について、聞いているかい?」



その質問に、あたしは頷く。



「でも知歌にはまだ話していません」

「何が?記憶?」



心くんに視線を向けると、少しの間を置いてから頷いてくれたので、話してもいいことなのだろう。



「一言でいえば、一度見聞きした記憶を忘れることが出来ない頭なんだよ、この子は」



ぽかんと、目をまんまるにして、理事長の話を聞いている知歌。



「忘れない……?」

「経験したことは全部覚えてる」



そう付け足す心くんに、知歌は視線を映してから、空を眺める。

どうした知歌、信じられなくてかたまっちゃったか?と思ったところで。



「そういう症例があること自体は、確かに聞いたことはありましたが……こんなに近くにいたとは」



どうやら、脳に付いての知識をちょっとかじっていた知歌は、知識があったらしい。
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