†captivity†(休載)
いつもだったら、別に気にしなかったと思う。
ここに人がいることなんて普通だし、ぼーっと一点を見つめているのだって、これからあたしがしようとしてたことと一緒だし。
でも気になったのは、その……男の子が抱えてる、大きなリュックだった。
リュックって、遠足の時に使うものじゃないの?
でも今は夏休みだし、大人だっていない。
この子ひとり、ポツンとここにいるだけ。
山登りとかに行くとしても、あたしたちの歳じゃ一人で行っちゃダメなはずなのに。
気になったあたしは、その男の子のところに行って、話しかけてみることにした。
「ねぇ」
「……」
「リュック抱えてなにしてるの?お父さんとかお母さんとかは一緒じゃないの?」
スッと、男の子の視線が、あたしと交わる。
サラリとした黒髪、可愛い顔立ち……大きくなったらかっこ良くなるのかな。
それが彼の第一印象だった。