†captivity†(休載)
その子は可愛いけれど、少し瞳が冷たく見えた。
睨まれているような、観察されているような、そんな目を向けられて数秒。
「だれ?」
男の子の第一声は、透き通るような声で、辺りに小さく響いた。
「……あたし、わか」
「わか?」
「和歌って名前」
「そう」
また数秒、時は流れて、彼は口を開く。
「ぼくは、しん」
「しん、くん?」
「そう。ココロって書いて、心」
心くん、心くん、心くん。
心の中で、3回その名前を言った。
新しいお友達ができたら、忘れないように3回名前を心の中で言うの。
そうすると仲良くなれるって、ママからのおまじない。
「しんくんは、こんなところでなにしてるの?」
「なにも。和歌には関係ないでしょ」
そう言われて、少し心が寂しくなった。
少しだけ、悲しくなった。