†captivity†(休載)


「おい」

「……」

「おい変態」

「え、あ、あたし!?」



隣で緒方先輩が呼んでいたのは、どうやらあたしで。

いや、でも変態なんて呼び方するんだったら無視しとけばよかった。



東先輩に、鼻で笑われた。

非常に腹立たしい、しかし彼を敵に回してもきっと負けるから、ここは大人しくスルーする。



「なんですか、緒方先輩」

「お前飯来るまでなにしてぇ?」



そうまた聞かれて思い出す。

そうだった。

この人たち、なんの理由もなくここに来たんだった。

しかも引き止めた当の本人なんて、キッチン行っちゃったし、今のあたしはここにいる理由がない。

東先輩なんて、優雅に文庫本を読んでる。



「いったん帰ってもいいですか?」

「首輪付けんぞ」



……ダメらしい。



あたしは暇潰しにいつも何してるのかを思い出そうとした。

ところでそう聞いてくる緒方先輩は一体なにをするんだろうか?

まぁいいや。



「勉強します」

「……ここでか?」

「宿題も出てますし、することないなら勉強してます」
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