†captivity†(休載)
緒方先輩は、非常に嫌そうな顔をしている。
あれだ、『苦虫を噛み潰したような顔』みたいな。
典型的な勉強拒否型らしい。
あたしだって別に好きではないけれど、やらなくちゃ困るのは自分だ。
「緒方先輩は何するんですか?」
「お前いじり倒す」
「帰っていいですか」
やだあたしこの人ホントやだ。
最初から邪魔する事しか考えてないし。
一体どんな子供時代を送ってきたら、こんな人に育ってしまうのか。
親の顔が見てみたい。
見たところで解決するわけでもないけれど。
あたしはスクールバッグから数学を取り出した。
問題集の問題を見ていると、明るい茶色が視界の端にチラつく。
……。
「緒方先輩、近いです」
さっきから彼の髪が視界をチラついてしょうがない。
どうやら一緒に問題集を覗いているみたいだけれど、近い。
「なんだこれ」
「は?数学ですけど」