†captivity†(休載)
気づけば、あたしが驚いている間に、二人の先輩方はもう食べ始めていた。
うわ、ちょ、いつの間に!
「い、いただきます!」
奏多くんに一言言ってから、一口パクリ。
ふんわり卵、ケチャップライスも具も絶妙!
なんだこれ、隠し味とか入ってんのかな?
めちゃくちゃおいしい。
「奏多くん、お店開けるよコレ」
「もう店手伝ってんだろ?」
……なんと?
どうやら緒方先輩情報によると、奏多くんはすでにお店でお手伝いしているらしい。
お手伝い?
「バイト、とか?」
「バイトっちゃーバイトか」
「奏多の家は洋食店だよ」
……おうちがお店、なの?
どうりでうまいわけですね!
「ここでも練習の一環でいつも作りに来てるから、君に食べてほしかったんじゃない?」
東先輩の言葉を聞いてから、あたしは奏多くんに目を向けた。
「そう、なの?」
コクリ。
また奏多くんのことを、一つ知った。
それが嬉しかった。