†captivity†(休載)
「思い出してほしいんだよ」
リンクする、緒方先輩との話。
「……は?」
東先輩までそんな話?
思い出してほしいって、だからあたしはなにを忘れてるっていうの。
「緒方先輩の、例のあれ、ですか?」
「そ。例のあれ。よくわからないけど」
よくわからないのに肯定しないでください。
「でも、聞いたんでしょう?」
「……まぁ、はい、どうやら前に会ったことがあるらしい、くらいしか聞いてないですけど」
正確には、抱き付いたことがあるらしい、だけど。
「そう。それをね、1ヶ月待ってあげる。1ヶ月」
「何で期限なんて付けるんですか」
東先輩が何かを企んでいることは嫌でもわかる。
なんで1ヶ月を二度言った?
強調するなんて怖い。
「よく聞いて」
「はい」
「1ヶ月かかっても思い出さなかったら、海に沈めるから」
殺……!?
背もたれに突撃する勢いで、あたしは身を引いた。
コツン、隣の緒方先輩に頭を小突かれる。
「安心しろ、近くに海はない」
「欲しい言葉と違います!なぐさめてないでしょ!?」