†captivity†(休載)
「そうか。ちなみに、俺のイメージは、クールだ」
「クール?」
「無口でクールな、男」
……男?
すでに差は明らかだった。
「中性的な名前だと、イメージがつかない。まあ手っ取り早いイメージに近い奴がいなかったら、漢字からイメージする時もある。優しい、遊ぶ、夕日、 勇気とかのな」
「……うん」
「なら俺の名前は?」
……しん、心って漢字で、真面目そうで、それから……それから、穏やかってイメージ、かな、でも少し冷たい気もする。
全体的に、落ち着いてるイメージ。
「今持ってるイメージは、漢字から連想したことか?」
あたしは、首を振った。
違う、心って字からじゃない。
それなら。
「誰から連想したのか。それが答えだ」
無意識の中で、『心』のイメージが作られていく。
過去の欠片を、繋ごうとしている。
緒方先輩は向きを変え、もと来た道を戻っていった。
自分のマンションに。
「ウソつき」
コンビニに用事なんて、最初からなかったんじゃない。
それは彼の、優しさか、気まぐれか、それとも……。