†captivity†(休載)


途中から脇腹が痛くなって、逃げることを断念した。

最後なんてほとんど走ってたしね。



緒方先輩は、なぜか今日は何も話さなかった。

無言で付いて来て無言で隣に並ぶ。

だからあたしも無言。



何を考えているんだろう?

でも、この空間に慣れてしまうと……不思議と居心地良くすら感じていた。

変なの、さっきまであんなに煩わしく感じてたのに。



気付けばすでに教室の前で……。



「昼、来いよ」

「え?……あぁ、はい」



会話がなかったからか、自然とこの空間に呑まれていて、いつの間にか緒方先輩と自分の教室まで来てしまっていた。



教室に入ると……まぁ注目の的でして。



「あさ、から……?」



そう声の聞こえた方を向くと、滝澤くん……だっけ?

パシり役の彼がいた。



「和歌、どうしてそうなったの」



本当に名前で呼ぶことにしたらしい滝澤くん。
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