†captivity†(休載)


真剣な声色に、なぜか焦りが出る。



「……な、なりゆき?」



滝澤くん以外には、哀れみの目を向けられる。

そんなにみんな緒方先輩が怖いか。



「害はそんなにないよ、緒方先輩は」

「あー……そう、かもね」



言葉のキレが悪いことから、やっぱりあまりオススメはしないらしい。



「前さ、あの人たちのこと話すって言ってて、まだだったね。まだ時間あるし、今話しちゃうよ」



そう言って、滝澤くんはあたしの荷物をサッと取り、あたしの席に向かって行った。



「え、ちょ、あの……」



……ちょっとだけ、キュンとしたのはきっと、彼らからの扱いとの差に感動したからだ。



滝澤くんの後に付いていくと、滝澤くんは鞄をあたしの机の上に置き、あたしの前の席の椅子を借りて座り、あたしの机に肘を置いた。



「……ありがと?」

「疑問系?いいけど」



彼はきっとおおらか紳士のO型なんじゃないか、なんてどうでもいいことを思っていた。

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