†captivity†(休載)


彼は片肘を立てて、手のひらに頬を乗せて微笑んでいる。



あたしはカバンを机の横にかけて、椅子に座った。



「俺ね、茅ヶ崎奏多と同じ中学で、同じクラスだったんだ」

「え、そうなの?」

「そうなの」



滝澤くんの視線は、斜め下。

何かを思い出してるのか、少し眉間にしわを寄せている。



「中学2年までさ、茅ヶ崎っていじめられてたんだよ」



いじめ……って。



その単語を聞いたとたんに、この話を聞いていいことなのか、不安になった。

奏多くんにとっては、知ってほしくないことなんじゃ……?



「茅ヶ崎ってさ、真面目なんだよ。言われたことを素直に聞くいい子ちゃん。いい奴からしたら、それはありがたいけどさ、悪い事考える奴はそれを楽しんじゃうのさ」

「……まって。滝澤くん、それ、あたしが聞いていい話?」

「無知は人を傷付けるし、話を聞いて三人と関わるのを考え直すかもしれない。それはそれでこの話の意味はなくなる」
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