†captivity†(休載)
「悟先輩さ、一時期スゴい荒れてた時があって。その時の被害はそりゃすごかったよ」
「東先輩が、荒れた……?」
いつでも冷静に見えるのに、それは想像し難いことだった。
「悟先輩はさ、俺も割と可愛がってもらってたし、前はすごく優しかったんだよ。あんなに怖いこと言わない人だった」
「東先輩のあの状態しか知らないあたしには、想像もつかないんだけど」
「そうだよね。でもあんな人じゃなかったんだよ。荒れてたって言ってもさ、暴力とかじゃなくて、精神的に追い詰める感じで荒れててね。あれは怖かった」
なにがあったのか……なんて、そこまでは聞けない。
東先輩に何が起きたのか。
どんな被害があったのか。
「変わってからの悟先輩には、誰も近付こうとしなかった。というより、悟先輩が遠ざけてた」
「……うん」