†captivity†(休載)
あたしはにっこりと笑って言ってやった。
もう全力の笑みを見せてやった。
そしてさよならを強調してやった。
「どうせ夜会うだろ」
……はい?
「夜?」
「あぁ」
「何で会う必要があるんですか?」
「おまえは奏多に言いくるめられて家に持ってこられるだろうからな」
……一度経験があるから言い返すことが出来ない。
でも、あの部屋でいいことがあったといったら奏多くんのご飯が食べられて、奏多くんとのデート権をもらったことくらいで。
後は……ヒドい扱いだったように思うのだけれど。
とりあえず奏多くんは無害の天使だという事だけははっきりとした。
ただ彼の中での優先順位が先輩たちの方が上なのがちょっと不満だけれど。
「今日はまっすぐ帰ってくることをここに宣言します」
「奏多、引きずってでも連れてこい」
「言ってること変わっちゃってますけど!?」
夜には気をつけよう、そう誓ってから、あたしたちのデートは始まった。