俺がお前の生きる理由。(仮題)
消えそうな女
気付いたら体が勝手に動いていた。
震える女を抱きしめる。
「大丈夫。すぐ動くから。」
そう声をかけても震えている女。
エレベーターが早く動き出すことを願いながら、その女に声をかけていると、
ふと、その女が俺のブレザーの袖をきゅっと握った。
『・・・ごめんなさい。』
そう、小さく聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いたあと、
女は苦しそうに呼吸を乱す。
「・・・はっ、はぁ、はぁ・・・」
「おい、どうした!?
おちつけ!!」
驚いてそいつを見ると、なおも俺の袖をきゅっと握り、苦しそうに顔を歪めている。
・・・過呼吸か?
以前どこかで似た症状を見たことを思い出す。
とりあえず、落ち着かせようとさらにそいつを抱きしめる腕に力を込める。
「大丈夫。怖くない。」
そう優しく声をかけ、背中をさすってやる。
「大丈夫だから。」