もう一度だけ。
私の名前は宮田 優愛。
今年の春からいわゆる
高校デビューをする。
世の中はピンク色に染まり
暖かい風が全身を駆け抜ける。
人々は期待と不安でいっぱいになるだろうこの季節。
私には期待も不安も何も感じない。
「行って来まーす」
私は制服を着て、
髪を巻いて鞄をしょった。
いってきます。
そう言ったってなんの返事も無い。
1LDKの部屋で1人暮らし。
私には家族なんてものも無い。
はぁー…
そっとため息を吐いて私は
家を出た。