もう一度だけ。
外を出るとピンクに染まった
桜の木と、新たに高校デビューをする生徒が数人、歩いていた。
サァー…
風が吹くたびに髪がぐしゃぐしゃになる
「あー、せっかくセットしたのに…」
私はぐしゃぐしゃになった髪を
手で整えた。
「ゆーぁッ!」
前を見ると小柄な女の子が立っている。
ミルクティー色のストレートな髪に
サイズの大きなカーディガン。
今にもお尻が見えそうなほど短いスカート。
くしゃくしゃにされたルーズソックス。
「あ、絵梨…おはよう。」
私は彼女にニコリと微笑んだ。
彼女の名前は佐藤 絵梨。
中学の入学式で始めて会った私の1番の理解者だ。
性格も良くて、女の子受けも男の子受けもとてもいい。
それなのに、彼氏は作らない。
とてもモテるけれど、彼氏は居ない。