やっぱり好き。

「ユ・・ユウト!?いや・・・。別にいじめなんか・・・。ただ、この子がろうか走ってたから・・・注意をしてただけで・・・。」

え?あたしいつ廊下走った????

あたしこういうの苦手だな。都合が悪くなると

自分は悪くないみたいな身を守るみたいな言い方する人。

「ふーん。じゃぁなんでゆずないてるわけ?」

あれ?いつの間にあたし泣いてたんだろう。

こんなことには慣れてるはずなのに。

やっぱり怖いのかな・・・・。

自分には支えがいるって思ってても

やっぱり過去には負けちゃうのかな・・・。

「ゆず。おいで?」

なんかユウトの声が優しい。

こんな声してたっけ?

なんとなく目が暖かくも見える。

これは錯覚?幻聴?

多分違う。これが本当のユウトなのかもしれない。

私はユウトに促されるがままそばに寄った。

「ゆず?どうした?こいつらになんか言われたか?」

優しく問いかけてくるユウトに今まで言われたことを話した。

そしてなぜ私が泣いているのかも。

要するに過去の話だ。

私が話し終えると

ユウトは鬼の形相で

私に寄ってきた女子によって行き

ユウトがその中のリーダーらしき人に

耳打ちをしていた。

ユウトが離れると

その女子は震え上がりその場でに座り込んでしまった。

そしてその周りにいた女子が支え

どこかへ行ってしまった。

ユウト。何言ったんだろう・・・。

でも

今の私にはそんなことを考えていられる余裕なんてなくて・・・。

「ゆず?大丈夫か?怪我はないか?」

ユウトが優しく問いかけてきてくれる。

なんでこんなに心配してくれるんだろう。

さっき会ったばかりなのに

なぜか昔からの友達みたいな接し方をしてくる・・・。

さっき会った時は意地悪そうな人っておもってたけど

本当は・・・違うのかな・・?

なぜか私はユウトが気になる。

なんでだろう。私、どうしちゃったんだろう。

幼い時に助けてくれたあの男の子に見える・・・。

私がいじめられていると助けに来てくれる。

幼い時のユウトも目の前にいるユウトも。

まだ一回しか助けられてないけどね。

でも

やっぱり似てる。

まさかの同一人物だったりして。

なーんて漫画みたいな話ないかっ。

そして私は

ユウトに支えてもらい

みっちゃんのもとへ駆け寄った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この時のあたしは

今、目の前にいるユウトと
過去のユウトがつながっていることに
まったく気づかなかった。

そしてこの二人が
どんな関係であるのかも
私が知るのはまだまだ先のこと・・・・

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