やっぱり好き。

男の子は

先生を呼んで来てくれた。

私は安心したのか

涙が出た。

泣き疲れて眠くなって

意識が朦朧としていたとき

先生の声が聞こえた。

男の子の名前。

まだその子のかわからないけど

私はなぜかその子だと思ってしまった。

いや。思いたい。

「ユウト君。ゆずちゃんのこと助けてあげたの？」

ユウ・・ト・・・・？

ユウトっていうんだ・・・・。

やっと男の子の名前をしれた。

もっと彼のことを知りたいと思ったが

その先の記憶は

そこで途切れていた。

目を覚ますと

見知らぬ女の子が私を見ていた。

だれだろう・・・・

そう思った私は

その子を見つめ

首をかしげる

「あっ！おかあさん！目覚ましたよ！」

ん？親子でいるのかな

「あら！よかった。いまゆずちゃんのお母様を呼ぶわね。」

私と女の子の二人に私は

気まずかった。

この沈黙を破ったのは

女の子の方だった。

「はじめまして！私みつきっていうの！ゆずちゃんだよね？よろしくっ！」

そう元気よくいわれて

あまりにもいきなりだったので

びっくりして声が裏返ってしまった。

「ひょろしくっ！！」

ぷっ・・・・。

変な声・・・・(笑)

「あははっ♪」

そのあと

おかあさんが

あの子はお母さんのお友達の娘だということがわかった。

それ以来

わたしと

みっちゃんは仲良しになった。

そのあと、幼稚園も同じということも

分かり、幼稚園でも一緒だった。

そして

私は幼稚園で一人じゃなくなった。

すると次第に

私へのいじめも減り

卒園まで普通に過ごせていた。

でも

心の中で

モヤがあった。

少ししか記憶がないけど

鮮明に覚えている

あのことば。

『ゆずの王子様。』

『いいよ。僕がゆずを守る。ずっとまもる』

その言葉が気になって仕方ない。

何度も先生に

ほかの組に

ユウトという男の子はいないか、と聞くが

ユウトという名前の人は

みんな違う顔の人だった。

一体あの人は

誰だったのだろうか。

その時の私は気づかなかったけど

今思えば

これは・・・。

恋だ。

その人のことが気になって

しかたがない。ときめく。

それが私の

初恋だった・・・・。