ノックを聞いたらそこには事件と恋のドラマがあった
耳を澄ませばほら、救済者たちの声が聞こえてきますよ。
「…何か面白そうな注文あった?」
「あったよ。
ちょっと不可解な注文がね。」
美月姫は注文を受け取っているホームページの画面を見ながら、澪の質問に答えた。
「…どんな注文?」
「自分の等身大のドール。
窓際に置きたいんだって」
「…この注文、面白い?
ただのナルシストにしか思えないけど…」
ブラックのコーヒーを片手に、もう一方の手には文庫本を持った匠真が部屋に入ってきた。
そして、澪の疑問に答えた。
「だから、てめぇは浅はかなんだよ。
その依頼主、女なんだろ?
だったら、窓際に置きたがる理由はまだあんだよ。
1つ ナルシスト
2つ 常に自分が部屋にいると他者に思わせたい」
匠真に言われて美月姫が見ているホームページの画面を覗き込んだ。
すると、ドールを作る時の必要不可欠な材料であるドールモデルの写真には少女が写っていた。
そして、コメント欄にはできるだけリアルで、自分そっくりにという希望が書かれていた。
どうやら匠真の推理は当たりのようである。