生存者の運命
俺が初めてこの仕事を
もらった、あの日。
俺がユウへの土産として
もっていったのは
この店の品だ。
その時にこの人から
いろいろ試作を
作るの当たっての希望を
聞いたり接客担当の人から
情報をもらったんだ。
福原さんからの資料には
最低限の事しかなかったから。
「五十嵐さん、俺の試作C
いかがですか?」
「試作A・Bは糞みたいな
出来上がりだが
試作Cは私の期待以上。
私がこれがいいというのだから
文句はないな、福原。」
ごめんな、福原さん。
俺、アンタ以上に
性格悪いんだ。
俺がにっこりと笑って見せれば
福原さんは悔しそうに
「…はい。」
と、だけ返事をして
そそくさと出て行ってしまった。