溺れるカラダ
溺れるカラダ
カフェのドアベルが、カランコロンと小気味いい音を鳴らす。
「ちょっと聞いてっ!!」
ドアベルとは正反対な、けたたましい声が響く。
「また彼氏が浮気した?」
ズバリ言い当てられて、口を噤む。
私の彼は明るくて楽しくて優しくて、申し分ない良い人なのに、浮気症なのが玉に瑕だった。
だから浮気されるたびにここへ来ては、愚痴をこぼすのが習慣になっていた。
「今回は幼稚園の先生だよっ。合コンしたんだってさ」
「で、可愛い先生をお持ち帰りってヤツ?」
「正解……」
やはり簡単に言い当てられて、がっくり肩を落とした。
< 1 / 3 >