溺れるカラダ
溺れるカラダ

カフェのドアベルが、カランコロンと小気味いい音を鳴らす。


「ちょっと聞いてっ!!」


ドアベルとは正反対な、けたたましい声が響く。


「また彼氏が浮気した?」


ズバリ言い当てられて、口を噤む。

私の彼は明るくて楽しくて優しくて、申し分ない良い人なのに、浮気症なのが玉に瑕だった。

だから浮気されるたびにここへ来ては、愚痴をこぼすのが習慣になっていた。


「今回は幼稚園の先生だよっ。合コンしたんだってさ」


「で、可愛い先生をお持ち帰りってヤツ?」


「正解……」


やはり簡単に言い当てられて、がっくり肩を落とした。




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