溺れるカラダ
「私って、そんなに魅力ないかなぁ……」
「そんなことないと思うけど」
淡々とっそう言い、コーヒーを淹れている。
「だったら何で、私と別れたの?」
そう。カレは私の高校時代の先輩で、元カレ。
高校2年から付き合いだして、私が大学を卒業するまで6年間一緒にいたのに振られてしまった。
「理由、知りたい?」
魅惑の眼差しを私に向けながら店の入口に歩いて行くと、クローズの札をさげ扉の鍵を掛けた。
閉店間際で、私以外誰もいない店内の雰囲気が変わる。
私の腕を掴み、通りに面した窓から唯一見えない場所に連れて行かれると、テーブルに押し倒される。
木のテーブルの冷たさと、カレが今からしようとしていることに身体が震えた。